第3話:旅芸人と金時計≪事件篇≫

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 お昼過ぎにルネットが学校から帰って来たときも、おうちの前に何人も集まってその話をしていました。 「犯人が捕まったんですって!」 「誰なの?!」 「それがあの旅芸人なんだって言うから、びっくりするじゃない? 宿屋にいるところをさっき見つかって、お巡りさんに連れて行かれたのよ」 「あの人たちが? 昨日、広場から追い出されたからって、そんなことするようには……」 「そうなんだけど、なんでもお巡りさんが襲われたところにあの、なんていうの? 放り投げるやつ」 「えっと、クラブ?」 「そうそう、それが落ちてたらしいの」  街の人たちは昨日の一件では旅芸人に同情していたのですが、はっきりとした証拠があるんじゃしょうがない、でも、どうしてそんなことを……そんなことを思いながら、みんな顔を見合わせています。  それを聞いていたルネットもどきどきして、胸がつぶれてしまいそうになりました。黙って重い足取りで自分のお部屋に上がって行きます。
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