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「まるでロボットですね。仁志社長にぴったりの娘さんだ。いや……ロボットの方が貴女より性能がいいかな。人工知能があれば自分で考えて判断できますからね」
「貴方のおっしゃる通りです」
そう返すと「はぁ……」とため息が聞こえた。
「話を進めましょう。一番重要なことは、貴女と僕がきちんと付き合って……つまり、お互い好きで結婚すると世間に知らしめなければならない。間違っても『親が決めた結婚』だと思われてはならないということです」
またしても理解が追いつかない。どうして『お互い好きで結婚すると世間に知らしめなければならない』のか。そもそも『世間に知らしめる』とはなんなのか。
「この部屋を出た瞬間から、貴女と僕は恋人同士にならなければならない。どこで誰が見ているかわかりませんからね」
フッと笑う向かいの男性。
うーん……私、男の人と付き合ったことなんてないから、恋人同士がどんなものかわからないんだけど。
「ここまで聞いても、なんとも思わないのですか? ちなみに、3ヶ月後、式を挙げてハネムーンにも行きますよ。全て僕と夫婦として」
尚も含み笑いで私を見ながら平然とお茶を飲んでいる。
「何をお望みなのですか? 私が断ることをお望みでしたらお断りしますが」
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