オワリノ公園(昼)(イーザン・ミウリン・ルーリウ)

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オワリノ公園(昼)(イーザン・ミウリン・ルーリウ)

〇オワリノ公園 昼   積まれた土管の上にイーザンとルーリウが座っている   足元でミウリンが花冠をつくっている 【イーザン】 ……ルーリウ、なんでついてきた。 【ルーリウ】 イーザンが浮かない顔して歩いてたからさ。気になっちゃって。 【イーザン】 おばさんの看病はどうした。 【ルーリウ】 姉さんが看てくれてる。今晩は仕事がお休みなんだって。 【イーザン】 ソーネチカも大変だな。 【ルーリウ】 まったく。君はいつも姉さんのことをそう呼ぶよね。彼女がやっているのは真っ当な仕事だよ。春は売ってない。 【ミウリン】 何のおはなし? ルーリウのおねえちゃん、お花やさんになったの? 【ルーリウ】 前と同じ、畑の見張り番だよ。 【ミウリン】 わたし、大きくなったらイヨの国でお花やさんになるの! そしたら、ルーリウのおねえちゃんを店員さんにしてあげる! ほら見て! きれいなカンムリできた! これをアイリアにあげるの! 【イーザン】 そのアイリアってのが、ほんとにイヨの国の女だったら 【ルーリウ】 駄目だよ、身代金目的の誘拐は。リスクが大きすぎる。成功しても失敗しても、僕らはきっと殺される。 【イーザン】 でも、金づるになるだろ? 【ルーリウ】 妹の友達に、よくそこまで非情になれるね。 【イーザン】 生きていくためには必要だろ。 【ルーリウ】 尊敬してるんだよ。僕はまだ心を捨てきれていないから。 【イーザン】 俺だって捨ててない。 【ミウリン】 おにいちゃん? 【イーザン】 なんでもねえよ。(ルーリウに向かって、少し声量を落として)……もしも、ミウリンを里子にとか、従者にって連れてこうとしたら、どうしたらいいと思う? 【ルーリウ】 イヨの国もムメの国も同じだよ。信用できる人間とそうでない人間がいる。今はまだ、判断できないね。でもきっと、ミウリンは君の元にいたがると思うよ。 【ミウリン】 またおにいちゃんとルーリウだけでお話ししてる! わたしには内緒のこと? 【イーザン】 あーそうだ、内緒。お前にはまだ早い。 【ミウリン】 はやくない! わたしもうたし算できるもん! 【イーザン】 じゃあ9に15を足して、それから21を引いてから今度は8を足してみろ。いくつになった? 【ミウリン】 う……え……9に……15で…… 【ルーリウ】 足し算できるって言ったのに引き算も混ぜるんだから、ほんといい性格してるよね。 【ミウリン】 んっとね……11になった! 11! 【イーザン】 俺なんて言ったっけ。 【ルーリウ】 9+15-21+8。合ってるよ、ミウリン。正解だ。 【ミウリン】 やったぁ! ほら、わたしもう大人だよ! 【イーザン】 お前はまだ子供だ。……ミウリン、早く大人になったって、いいことない。 【ルーリウ】 子供のままでいたって、何もできないのにね。(イーザンに向かって、少し声量を落として)……ミウリンには、君が必要だよ。この子を理解して、守ってあげられる人が必要なんだ。 【イーザン】 ……お前でもいい。 【ルーリウ】 僕じゃ駄目だよ。 【ミウリン】 おにいちゃん! ルーリウ! 【ルーリウ】 ごめんごめん。ほら、イーザン。折角こんなにいい場所に連れてきて貰えたんだから、もっと羽を伸ばそうよ。暗い話はなしだ。僕ら、今はムメの国にいないんだ。ここは、どこでもない。 【イーザン】 オワリノ公園。……どの国の領土でもない、ただの空き地。 【ミウリン】 ここでみる夜の空は、とってもきれいなんだって。
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