第二章 ミャーミャーは猫じゃない ニ

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 どう解釈したらいいのか分からないが、要はジェネリックの薬品で、聞いた事もない難病を治せるようなものらしい。それは、獣医にも応用できるものなので、じっくり有働に聞いてみよう。 「八起、機械と生き物は違う」 「そう、臓器は取り換え用のパーツとは異なる」 「八起…………」  三つ子が揃って、呆れたように俺を見ていた。 「俺、口に出して何か言った??」  どうも思考を読まれているようだ。  その有働が、一番、他者から畏れ敬われている点が、ミャーミャーの存在であった。  ある時、職員に呼ばれて有働がパソコンから離れた隙に、他の学生がミャーミャーに話しかけた。そして、その会話は一時間にも及び、女性における携帯端末の在り方を、ジェクチャーされたらしい。  男子学生にとっては携帯端末が、機械の域から出る事はなく、いわば電卓と同類であった。しかし、ミャーミャーによると、携帯端末自体が、時には話し相手であり、友であり、共犯者で姉妹のようだともいう。  端末を、人格のない記憶媒体だと思っていた学生達は、ミャーミャーのファンになっていた。そして、有働を畏れ敬った。 「どういう存在なのか、さっぱり分からない」 「まあ、八起とピーチク、パーチクのようなものだろう」  ピーチクは、ミャーミャーのように有能ではない。まず、会話が困難だ。
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