第一章 ミャーミャーは猫じゃない

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「最初は海だった。ミャーミャーは、バイトで、かき氷を作っていた」  それは海の家で、短期バイトであった。どうしてそこでバイトをしていたのか調べていると、その付近に、ミャーミャーの兄がいたと分かった。  ミャーミャーは、同じく夜逃げした両親と離れて、恋人と暮らしている兄を見つけた。そして、バイトをしながら、兄と過ごした。だが、借金取りに見つかり、兄は再び失踪してしまった。 「両親は破産している筈だった。しかし、ミャーミャーの両親は、親類や友人からも借金していて、かなり恨まれていた」  ミャーミャーは自分が親戚に恨まれていると気付き、帰る家を失った。 「秋には、ミャーミャーは、俺ではない彼氏と同棲していた。それは、都心から少し離れた場所のアパートで、ミャーミャーはファミレスでバイトをしていた」  ここで有働を頼らなかったのは、有働の境遇を知っていたかららしい。 「でも、ミャーミャーは有働を想っていた…………」  だから、パソコンに魂を宿らせた。 「俺を恨んでいたのかも…………」  自分が恨まれていたかもしれないと感じ、有働はミャーミャーの死因を探れなくなったらしい。 「それは、有働がミャーミャーを探し当てた痕跡で、借金取りが、二人の居場所を突き止めたせいですね」 「…………そうだ」
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