第二章 ミャーミャーは猫じゃない ニ

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「探してくるよ。でも、修理代よりも…………」 「そうだな、成功報酬は、別に用意するよ。八起のパソコン、グレードアップしておく」  それは、有り難い。 「ほら、帰るぞ、八起」 「わかった」  俺と駿河が、そのまま裏道から帰ろうとすると、有働が見送ってくれた。その姿は寂しくて、俺は何度も振り返ってしまった。 「八起、所有者をこれ以上増やすなよ…………」 「そうは思うけれど、油断した」  有働は、ミャーミャーをパソコンに入れて持ち歩いている。それは、ミャーミャーの能力というよりも、有働の能力に近い。霊体が存在できるように、有働はパソコンを調整しているのだ。微力な電気である霊体は、本来、電気の塊であるパソコンに干渉できない。 「雪谷さんも家電に弱いからな…………」 「八起もでしょう」  俺は、家電は平気だが、パソコンに弱いだけだ。使えないというわけではないが、修理が出来ない。 「雪谷さんは、触れるだけで、ぶっ壊す」 「有働、家電の修理はできるのかな…………」  俺と駿河は、喋りながら電車に乗り込むと黒船に向かった。
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