第二章 ミャーミャーは猫じゃない ニ

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「雪谷さん、直して貰った端末です」 「ご苦労さま」  ただ直しただけではなく、心なしかスピードが上がっていた。 「スカウトもできたみたいだね」 「そうですね、ミャーミャーと暮らしていた者を探さないといけないな……」  でも、その前に、喫茶店金太楼でバイトをしなくてはならない。駿河にも、黒船のバーテンのバイトがあるので、夜は人探しができない。 「それで、駿河、八起。有働君は使える人間でしたか?」 「能力は凄いと思うよ。壊れている箇所が見えているように早いし、迷いがない」  端末を修理する能力に不満はないと、駿河が評価していた。 「…………それと、黒船っぽく、かなりぶっ壊れている」  それは、人間性のほうで、俺も頷いてしまった。  有働はアイドルのような容姿であるにも関わらず、中身はかなり闇だった。だが、その闇の部分では、俺も負けていないので、どうにか理解ができる。  有働は、中学の入学式の日に、両親が夜逃げしてしまった。そして、有働の兄と妹は、両親と一緒に消えたのに、有働は取り残された。  有働は祖父母の家で育ち、進学校を卒業すると、工学部に進学した。有働は、奨学金も得ているが、バイトでも稼いでいた。 「……半端なく、ぶっ壊れているのか?」 「かなりだ。八起くらい、ぶっ飛んでいて全壊に近い」
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