第二章 ミャーミャーは猫じゃない ニ

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 三つ子は一時期、荒れていたようだが、俺と出合って運命に目覚めたと勉強するようになり、慶宗がこの店のカウンター席を三つ子のために借りていた。 「八起、これが今日の課題だ」 「だから、俺に宿題をやらせるな!」  三つ子は、営業センスがあり、経営者にも向いている。だが、俺に宿題をやらせるのは、止めて欲しい。 「俺達は、八起の所有者。絶対に手放さない!」  この所有者というのは複数人いて、俺の血を舐めた者は、もれなく、なってしまうものらしい。 「それと、スカウトしているのは、工学部の異端児、有働 具視だな」 「どうして知っているの?」  斗真は、カウンター席に座ると、端末で写真を見せてくれた。  有働の通う工学部は、かなり偏差値の高い所で、しかも男子学生が多かった。それも、真面目な生徒が多く、何というのか男臭い学部であった。その中で、有働はアイドルのような容姿で、かつパソコンと話し、一日中、修理と組み立てをしているような変人で、かなり浮いていた。どこを中心で見ていいのか、分からない点が、浮く理由かもしれない。 「有働は、パソコンを設計している。ソフトばかりが進化しているように見える業界で、ひたすらにハードに拘る」 「機械的に優れているものではなく、完全に使いこなせるパーツというコンセプトで、安価ではある」 「まあ、凄い」
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