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第三章 ミャーミャーは猫じゃない 三
金太郎のバイトが終わり、三つ子を見送ると、駿河が階段で待っていた。
「直哉から、八起を一人にするなと伝言があった。だから、今日は俺の家に泊まれ」
「小学生じゃないから、大丈夫だよ」
俺は今までも一人で生きてきたので、問題ない。しかし、駿河は階段を見上げ、方向を変えた。
階段には、どこから入り込んだのか分からないが、体格の良い男性が数人いた。その男性が駿河を見て舌打ちしているので、方向を変えられたくなかったのかもしれない。
駿河と専用のエレベーターホールに入ると、先程、階段にいた男性達が走り寄ってきた。しかし、このエレベーターホールは、住人以外は入る事ができない。
「だから、紀行さんも警戒していて、防犯カメラを追加した」
防犯カメラを階段に追加したようだが、部外者が入り込めてしまうらしい。
「階段は注意するようにするよ。でも、部屋は安全でしょう?」
「どうせ、隣だろう」
駿河は、御調の住んでいたKUROHUNEの最上階の部屋を使用している。そこは問題ないのだが、駿河は新婚で、暁樹という結婚相手も同居しているのだ。
エレベーターで上りながら、口論していると、防犯カメラが動いていた。
「カメラの動きが変だ」
「防犯というよりも、盗撮されているような……」
俺の映像など売り物にもならない。
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