第一章 ミャーミャーは猫じゃない

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 この店員は、噂によると、どんな故障も直してくれるという。  店員は定食を持ってやってくると、俺の横にビールのケースを置き、端末を手に取った。そして、すごいスピードでバラしてゆくと、一旦店内に戻り、何かのパーツを持ってきて、又、すごいスピードで組み上げていった。 「器用ですね…………」 「そう?」  しかし、この店員は間近で見ると、可愛いというよりも二枚目に近かった。整った顔立ちで、身長もかなりある。見た目の雰囲気で可愛い感じに見えていたが、立派に男であった。 「それだけ機械に強いのならば、定食ではなく、修理をしたほうが良いのではないのですか?」 「ああ、人を探していて、この周辺にいると聞いてね…………」  人探しならば、俺達もバイトでしている。主に死んだ人が多いのだが、それでも人探しならばプロに近い。 「その人は誰ですか?」 「今、会えたからいいよ」  すると、定食屋で働いていたのは、人を探す為だったということだ。それも、この店の客層は学生が多いので学生で、しかも大盛りの店なので男だという事になる。 「…………今?会えた?」 「そう。八起さん。そちらは、駿河さんでしょう?」  俺ならば、探さなくても黒船に行けば会えたであろう。
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