百物語のかわりに

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「……まだ、やる?」タクヤの声がした。 「……じゃあ、あと1周」ケンジ。 「じゃあ……口裂け女」 「……雷」 「……もう、いいじゃん……泥棒」 「……押し入れ」  リュックを置いていた入り口わきの棚から、ごとり、と何かが落ちる音。  暗闇の中で、お互いのからだがびくりと跳ね上がったのが気配でわかった。  ケンジの声がした。「……じゃあ、やめっか」  それに続いて、低くこもったささやき声が、かすかに空気を震わせた。 「そうだよぉぉぉ、もうやめたほうがいいぜぇぇぇ」  今、言ったのは、誰だ。
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