1:出会いはバラの庭にて(アルバード)

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1:出会いはバラの庭にて(アルバード)

 その庭は、さすが王宮の名所になっているというだけに凄かった。俺は男だから花の種類はよくわからないけれど、バラぐらいはわかる。ちなみに野草は得意だけどね!色とりどりのバラの花が言葉通り咲き乱れていて、なかなか圧巻だった。そのバラが咲き乱れた庭の中に一人でポツンと佇んでいる小さな女の子がいたのだ。その子も見ただけで凄かった。  目の覚めるような美少女、いや美幼女がそこにいたのだ。  誰がどう見ても将来有望であると断言するだろう。  ふわふわの波打つ緩いウェーブがかかった長い金髪に空のような青い瞳。憂いた表情で彼女はそこに立っていた。  見たところはまだ5・6歳くらいであろうが、その表情はおおよそ子供らしくないというか、大人びているのでアンバランスではあるが、またそこが彼女の魅力を引き立てているように見えた。  俺は思わず見とれていたら、いきなり目が合った!美幼女がいきなり90度に首の角度を変えたからだ。  まさかこちらを見るとは思わなかったのでめちゃくちゃ驚いたし焦った。  だが、彼女は・・・  何故か俺を思い切り睨んでいた。  え?何かしたかな?いやしてないよね?だって今初めて見たし・・・  彼女はフン!といった感じで踵を翻し、王宮の中に戻っていった。  初めの憂いた様子はどこいった?  一応いっておくと、俺に幼女趣味はない!  だが、それでも彼女はかなり目を引く存在だったのだ。(睨まれたけどね!)  実は俺は今日たまたまこの王宮に訪れていた。  普段はこのようなところに来ることはまずないのだが、王様より呼び出しをくらったのだ。何か悪い事したっけ?と一瞬悩んだが、なんでも俺に用事があるらしい。そういう訳で父と一緒に王宮に出向いたというわけだ。  「どうした?」 「え?いや、いまさっきまですごい綺麗な小さな令嬢がいたんだけどさ、なんでかわからないけど睨まれてどこかに行ったんだよ。」  「なんだ、それは。(笑)」  いや、俺だってわからないからね?  「でもここに居たのだから、身分の高い令嬢だろう。次会った時に気を付ければいいさ」  と、父は言うけれど、俺マジで何もしてないつーの!  まぁ王宮にいるってことは、身分は高いだろうね。  いきなり因縁付けられた気分だけど、まぁ子供だからな。あんまり気にしないでおこう。  と、この時はそう思っていたのだが・・・  まさか、あんなことになるとは夢にも思っていなかった。  人生とはままならないもんだよねー。
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