13:アルバードの考察(アルバード)

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13:アルバードの考察(アルバード)

___アルバードの部屋にて  俺は王宮から帰宅後、シエラ嬢から聞いた話を考えていた。   うーむ、呪いの媒体はオルゴールねぇ。音で呪いとは、また高等業だよなぁ。  バランドールの解析によると、オルゴールを分解して開けてみたら、髪の毛が入っていたらしい。それがシエラ嬢のものだったらしく、それで個人特定の呪いが発動する仕組みになっていたと。一緒に聞いていたユーナさんは何ともなかったらしいからね。  音は古代文字の楽譜だったらしいが、調査をしてもどこにあったものなのかは、さっぱりわからなかったそうだ。恐らく禁呪ではないかということだが、俺もその見解は正しいと思う。そうそう人を子供にするような魔法が出回ってたら恐ろしいからな。  それに・・・これだけ大きな作用のある『呪い』なのだから、何かしらの大きな代償が必ずある。世間で『呪い』が普及しないのは、まさにそれのせいで、代償を被るようなことを好まない輩が当然ながら大半だからだ。  恐らくだが、この件は呪いをかけた本人ではなく、『呪詛返し』を使って、自分の身代わりを立て術者本人は代償を被らないようにしたと思っている。そして身代わりなんてものを用意ができるのは、恐らく貴族。そういう訳で、呪いをかけたのは貴族だと、俺は推測している。  解呪がわかったのは、神託だったらしい。あちらの神官からそのように伝えられたと。  バランドールは年に1度だけ、バランドールを加護しているヴァレリア神により、神託を一つだけ賜ると聞いている。本来は、国に関することで神託を賜るのだが、さすがに隣国の王女の幼女化を放置するわけにもいかず、今回は特例で、シエラ嬢についての解呪について、神託を貰ったらしい。犯人も知りたいところではあるが、何せ年に1つしか神託はゲットできないので、解呪を選択したとか、ま、そりゃそーだろね。    そして呪いと解呪は必ずセットになっているが、必ずしも方法は一つだけとも限らない。 まぁ、神託の内容は両想いが解呪と言うなんとも乙女チックな発想にはなってはいるが、現実となるとこれはかなりハードルが高い。  気持ちの問題だからな、好きになったからといって、相手も同じ気持ちになるとは限らないからね。ましてや相手は一国の王女だから余計に難しいと思う。 「うーん、こいつはあいつの手を借りた方が良さそうだな。」  俺は冒険者時代にパーティを何度か組んだあいつが適任だと思い、シエラ嬢に人員を増やす許可をもらおうと決めた。 何せ、事が事だからね、公にやる訳には当然いかないし。  ・・・ま、ちょっとクセはあるけど、悪い奴じゃないしな。   翌日、アルバードは早速シエラ嬢に打診をしに王宮に行った。   「え?冒険者の方ですか?」  「そう、俺は魔法が専門ってわけではないしね。昔何度かパーティを組んでたやつなんだけど、魔法に関してはかなりエキスパートなんだ。そいつは魔法に関してはかなりマニアックな事にも詳しいからね。もちろんこの件は他言無用ってことでの誓約書もちゃんと交わすから。だから解呪について協力を仰ぎたいんだが、どうかな?」  「・・・わかりました。ご協力いただけるなら、どうかお願いします。」  「ありがとう、なら連絡するよ。あとシエラ嬢、口調。」  「あ、あぁ!そういえばそうだったわ。」  慌てた様子のシエラがそう言うと、アルベールはニッと笑った。  「まぁお姫様だし、仕方ないんだろうけど、俺の前では気を抜いてくれたらいいよ。婚約者なんだしさ!」  「え?、えぇ、そうね。」  なんとなく、シエラはくすぐったい気持ちになった。  「じゃ、早速連絡してくるんで!」   そういうと、アルバードはじゃっと片手を上げて、さっさとドアから帰ろうとしていた。  「ちょっ!アルバード!お茶、お茶用意してるのよ!」  シエラがそういうので、アルバードは振り返ってみていると、ユーナがお茶の用意をしていた。  「あ、いけね。いくら何でも早すぎたか。じゃ一杯だけいただこうかな。」  「もう・・・気持ちは嬉しいけど、そんなに慌てないで。」  「そっか。そうだな。」   「ふふっ」  「ん?何か、おかしかった?」   「アルバードって面白いと思って。」  「そっか?俺的には普通と思ってるけど、貴族らしくない自覚は自他ともにあるよ。」  「そうね。でもアルバードらしくていいんじゃない?」  「そういう風にいってくれると、嬉しいな」  そういうと、アルバードは手の平をシエラの頭にポンポンと乗せた。  「ちょ、ちょっと子供扱いやめてよ!」    シエラは赤面しながらそう言った。  「あ、悪い、悪いつい。」  そう言いながらも、アルバードは悪びれた様子はなかった。  シエラは、アルバードが婚約者として気さくに接してくれる事に、嬉しい気持ちになりつつも、自分がこんな姿だから子供扱いされるんだなということに、何となく寂しい気持ちにもなり、何とも複雑な心境であった。
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