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6:小さくなったお姫様(シエラ)
「ん・・・」
目が覚めた。いつの間にかベッドに移動してたみたい。
「姫様!お目覚めに!」
見ると、ユーナが泣いていた。
「ユーナ泣かないで。何か急に気を失ったみたいで、心配かけちゃったわね。」
その時、シエラはあれ?と不思議に思った。自分の声が自分の知っているソレと違ったからだ。
「声が・・・変?」
「あぁ、姫様、まさかこんなことに!」
ユーナは両手を顔に覆ってまた泣き始めた。
「やだ、ユーナったら、失神くらいで大げさね。そんなに泣いた・・・ら・・・」
ユーナを慰めようと差し出した自分の腕を見てギョッとした。
え?なんか短いっていうか小さくない??それにやっぱり声も間違いなく違うというか、子供のような声・・・
シエラは嫌な予感がした。
シエラはベッドから起き上がり、自分の両手をみた。そして自分で顏を触ってみたり、身体をまさぐってみた。
まさか、まさか・・嘘・・・こんなことが・・・!
「ユーナ鏡・・・鏡をちょうだい!!」
「姫様・・・わかりました。」
侍女のユーナは手鏡を持ってシエラに渡した。
「姫様、どうかお気をたしかに。」
ユーナは泣きながらも強く言った。
シエラは自分に何が起きているのは、もうわかっていた。
ただ、どうなってるのか、はっきり知りたかった。
深呼吸をし、鏡を見た。
「!!小さくなってる・・・」
「はい・・・あのオルゴールを聴いている最中に、姫様のお身体が突然光だして、そのまま小さくなってしまい、そして気を失ってしまわれたのです。」
「そうだったのね・・・」
オルゴールを長めに聴こうと、ネジを回して聴き始めたところまでは覚えているがそこからは、シエラには記憶がなかった。
本当に私は小さくなってしまったのね。この顔は自分でも覚えている。幼かった頃の私。
「それと・・・あのオルゴールは、ライル殿下からの物ではありませんでした。何者かがライル殿下の名前を騙って届けたようです。もっかオルゴールを届けにきた侍女については捜索中とのことです。」
その時、ドアをノックする音がした。
「お医者様をお連れしました。」
「これは・・・呪いの類ですね。」
「呪い?」
「はい、お話を伺っている限りでの憶測ですが、媒体はオルゴールが原因かと。」
「オルゴールで!?」
「はい、オルゴールにシエラ王女が小さくなる呪いがかかっていたのかと思います。毒や薬で若返るような効用があるものはありませんので。」
「で、ですが、私も一緒に聴いていたのですよ?!」
「恐らくですが、シエラ王女だけに呪いが発動される何か特定の物が加味されていたかと思います。それが何だったのかは、オルゴールを詳しく調べてみないとわかりませんが・・・。」
王宮医師は、少し気まずそうになりながらも、そう答えた。
「そう・・・呪いなのね・・・」
そうだろうなと、シエラは思った。同じものを聴いて特定の人物だけに呪いを発動させるなど、高等な魔法であることは、シエラもバランドールに来てから学んでいたので、理解していた。
「で、元に戻るのかしら?」
「それは・・・何とも。医者の領域ではありませんので、魔法省の方でお調べすることになるかと思います。ただ、私も詳しくはありませんが、難しいのではと思います。お体については、ざっと診た感じでは、小さくなった以外異常は見当たりません。」
「そう・・・ありがとう。」
王宮医師は王室に報告すると言って出て行った。
「姫様~~!!」
シエラは勿論こんなことになってショックではあるのだが、王族の矜持故なのか、取り乱すようなことはしなかった。
それに侍女のユーナが、自分の代わりと言わんばかりに泣いているので、逆に頭が冷静になっていた。
「容易に想像できるのは・・・私がこの国に嫁ぐことが面白くない人達でしょうね。」
「そんな、姫様!だとしたらこれは国家犯罪ですよ!呪いだなんて、一国の姫相手に~~!」
ユーナは泣きながらも、呪いというワードを聞いてかなり怒りをあらわにしていた。
「ユーナ、もし戻れなかったら・・・国に帰る支度が必要かもしれないわね。」
「姫様~~~!!」
私としては勿論こんな姿になったことは、納得していないし、腹は立っている!なんだけども・・・うん、相手の目論見通りになるのはちょっと癪ではあるんだけど、結婚したくない私の気持ちとはある意味合致しているのよね。でもかといって、こんな目に合わされて許せないし、勿論戻れないと嫌だけどね!
シエラは憤慨しつつも、幼児化の件でバランドールに嫁がなくてもいいかもという淡い期待もあるが、同時に元に戻れなかったらどうしようという何とも複雑な心境であった。
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