9:王女とお茶会(アルバード)前編

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9:王女とお茶会(アルバード)前編

 そういうわけで、いろいろ聞きたいことがあったので、婚約の書類を片付けた後、王女にヒアリングをしたいと言ったら、お茶会?の場をセッティングしてもらいましたー!  丸いテーブルに俺と姫さんが向かい合って座っており、姫さんの後ろには侍女が控えている。  「シエラ王女。」  「はい、なんでしょうか?」  「えーと一応婚約者になりましたので、早速で申し訳ないんですけど、口調やめていいですかね?正直なところ、俺こういう話し方向いていなんですよ。」 そういうと、シエラ王女は目をまん丸にして驚いている様子だった。  「そう・・・ね。一応婚約者ですからね。いいわ、貴方が普段通りで話し方で構わないわ。私もそうするから。」  お、なかなか話が通じるね。ごねられたらどうしようかと思ったよ。  「じゃ改めて!俺はアルバード・セル・アーベンライン。シエラ様よろしく!」 俺はそういうと、握手を求めて右手を差し出した。シエラ様もおずおずとながら手を差し出し握手した。当たり前だけど、手ちっさ!    「私はシエラ・リル・アルカディア。こんな姿になってしまったけど、本当は18歳よ。様もいらないわ。」  「あーまぁでも一応王族だからねーじゃシエラ嬢で! 」  「わかったわ。でも私はアルバードって呼ぶわよ?」  「どうぞご随意に。」  俺はそういうのニヤリと顔を作った。  「けど・・・あなたは本当にいいの?」  「ん?何が?」  「えと・・・お父様、陛下からの依頼だったから断れなかったものもあるんじゃない?そうだとすると、申し訳ないと思って・・・もし私がこのままだったら、子供も作れないじゃない?」  「ぶっ!!」 俺は思わず飲んでた紅茶を噴き出してしまった。  「きゃ!大変、ユーナ!」  「はい、姫様。」  ユーナという侍女は手慣れた手付きでテキパキと片付けてくれた。  侍女さんすまない!   「ご、ごめん。いきなり子供の話になるとは思ってなかったもので。」  めっちゃ意表をつかれたわ! 「あ・・・そ、そうよね!私ったらいきなり、話がぶっ飛んでたわね。」  シエラ嬢は顔を真っ赤にして、慌てていた。  ・・・あれ?普通に可愛くね?  さっき睨まれたのが嘘のようだ。というか、何だったんだ?  「あーそういえばさっきバラのある庭でさ、睨まれた気がしたんだけど?俺の気のせいかな?」  そういうとシエラ嬢は少し気まずそうな顔をして・・・    「・・それはアレよ、アレ。小さくなった私になんだか見とれていたようから、あなたも・・・そのロリ〇ンなのかと思って・・・」 見とれてって!あー確かに見とれてたのかな。けど肯定すると何となく不味い気がする。俺の勘がそう言ってる。けど、『あなたも』?  「ふーん、その言い方だと、既にそういう輩がいたってこと?」  「・・・・元婚約者よ。」  「へ?」  「だから、元婚約者!順を追って話すけど、元婚約者がロリ〇ンだったの!」  「へぇあの噂では見目麗しいというあの王子がねぇ・・・シエラ嬢さぞ引き留められたんじゃない?」  「・・・しつこかったわね。」  「・・・だろうね。」  なるほど、そういう目にあったから、俺も同類と思ってああいう態度になっちゃったって訳か。うん、やっぱ言わなくて正解!グッジョブ俺!!  「まーでも今のシエラ嬢見ても、大きくというか元に戻ってもすごい美人さんなのは、わかるよ。」  「え?!」  「だから、美人なんだろうなと。」   俺がそういうと、シエラ嬢は顏が真っ赤になってた。よく赤くなる子だな・・・  「な、なによ、そんなセリフ、よくサラッと言えるわね!」  「いや、思ったまま言っただけだけど?」  「・・・・・」  また赤くなった。見てて面白いな。  「そ、そうよ!!私自分で言うのもなんだけど、結構イケてるんだから!元に戻ったらびっくりするわよ!」  と、ビシッと人差し指を差された。いや、それ行儀悪い奴だからね、俺が言うのもなんだけどさ。  しかしお姫さん自分でイケてるって言ってるよ。けど嫌味はない。面白いかも。  「うわー、自分でイケてるとか言ってるよ。姫さん大丈夫?」  「なによー失礼ねー!」  ユーナはそんな二人のやり取りを生暖かく見守っていた。   そして娘と息子の様子をアルカディア王とアルバードの父はこっそり覗いていた。  「侯爵どう思う?」  「そうですね、感触としては悪くないのではないでしょうか?」  「侯爵もそう思うか?!」    「はい、かなり意気投合しているように見えますね。」  「このまま相思相愛になってくれたらなぁ。他の方法を模索しないでもいけるんだが・・・」  「仰る通りですね。ただ色恋沙汰は不確定要素先が多すぎて、先が読めませんからね。」  「そうだな。侯爵の子息に期待しているよ。」  今回の事は、ある意味仕組まれていた。だが、当然当人同士の思いは他人の強制に寄ってどうこうなる問題ではない。あわよくば的に思っていたことが、現実に上手くいきそうなので、親父ーズは色めき立っていた。
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