38人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
むかし
あれは
どれくらい前の話になるのだろう?
20年くらい?
身内の突然の訃報が入り
取るものもとりあえず実家へ向かった
当時
私はある団体の役員で
いろんな役割があったけど
そんなこと構ってられない
「携帯も繋がらないかもしれないので、私の代わりに役割をこなしてください」
と友人にお願いして帰った
「わかった、こっちのことは心配いらないから気をつけて」
葬儀や事務手続きが思いのほか大変で
3日ほどほとんど睡眠もとれなかった
遺体が警察から戻ってきてからやっと
葬儀の段取り
宗教的なことも絡み
すべての責任は私が負いますからと
踏ん張った
長女であること
喪主であること
遠く離れていること
一度に済まさなければならないことが
イヤというほど重なった
4日目
葬儀場で携帯が鳴った
あとのことはよろしくとお願いしていた友人だった
開口一番
『何故、一度も連絡してこないのか?どれほど心配したと思っているのか?』
とても苛立っているのがわかった
私は返事に詰まった
「連絡できなくてごめんなさい…心配してくれてありがとう…」
それだけ返した
その後も何か言われた気がするけど
聞こえなかった
ひどく
悲しかったから
「電波が悪いから繋がらないことが多いから」
それだけ言って切った
最初のコメントを投稿しよう!