回顧録39、僕のHインデックス

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回顧録39、僕のHインデックス

 静かな病室でまた目が覚めた。すぐにはここが何処だかわからなくなる。寝ている間は、「あたらしばし」の会社のことを思い出していた。会社にはユキヲさんがいて、児玉さんがいて、そして場面が切り替わって「ねずみやま」の「とぃとぃ」には新島教授とかマルチャンとかユキヲさんとか、議論好きが並んでいて、あれ、山田教授や麗奈さんやマルチャンの息子のドニ君も夢に出てきたような。  どのくらい寝ていたのかわからないけど、ユキヲさんがまだ病室にいてくれて、僕の方をずっと、ずっと見てくれていたのが分かった。だから目が覚めた僕にもすぐに気がついて、優しく微笑んでくれた。  今回、ユキヲさんは、僕のことを心配してくれたのだろうか。 「心配をかけてごめんなさい、本当にごめんなさい」 僕は、何度も心の中でそう繰り返した。  そうだ、元気になったら幸せの大きさを表すH指数の値を増やす方法について、今度こそ勇気を出してユキヲさんに相談しよう。そう決心したら、また眠くなってきた。何をするにしても、まずは体力を回復しないといけないと思う。まだ体を動かすことができないし、とても眠い。  ずっとずっと寝ていても、不思議と目の前で何が起きたのか、何らかの感覚を覚えている。寝ている間に誰かが合わせた唇は、甘いブロッコリーの味がした。
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