監修者・新島教授から読者へのメッセージ

1/1
前へ
/182ページ
次へ

監修者・新島教授から読者へのメッセージ

 現代社会では、動物性のタンパク質(特に肉)や脂質が過多となる食生活となりがちです。また植物由来ではあってもデンプンなどの糖質を多く摂取しすぎる傾向にあります。そこで、よりよい食事のバランスをとるための「鍵」となる食材として、野菜および果物は大変重要な役割を果たしています。このように野菜や果物を多く取り入れる食生活は健康的なイメージがあるため、動物由来の食材を口にしないベジタリアンの食事も同じように健康的なイメージを持って受け止められることが多いと思います。しかし、本来は動物であるヒトが心身ともに健康的な生活を送るのに必要な栄養素のすべてを、植物のみから、まかなうことは非常に困難であることを指摘しておく必要があります。それでも、より完全な食事に近づけるための工夫は出来ます。本書の狙いはそこにあります。  一方で、心身ともに本当に健康であるためには、意思に反して何かを無理やり強いられるという状態は絶対に望ましくありません。もし、何かの理由で動物性食材を口にすることを「心」が拒絶するようになった場合、栄養学的に完全な食事ではないというだけの理由で肉食を強要するようなことがあってはならないと思います。心理面で納得のいかない行為を強要された状態が続くと必ず身体面でも不調をきたしてしまうからです。  もしかしたら、ベジタリアンであることを公言すると、意図を深く理解してない周囲の人たちから、「善意」で、あるいは面白半分に、場合によっては、半強要的な形で肉食をすすめられることがあるかもしれません。そういう対応を受けた時の戸惑いや怒りや悲しみも筆者には理解できます。肉食を勧める人にも理由はあるのでしょう。でも、何人たりとも無闇に他人のライフスタイルに干渉すべきではありません。何事も、本人が納得して、無理のない範囲で対策を立てることが大切です。  筆者には、理屈ではなく、心の問題として「肉を食べたくない」という人たちの気持ちがよくわかります。そういうベジタリアンに寄り添い、栄養学を基礎とした様々な「情報」や可食を判断するための「知識」を提供し、同時に安心して自分でも調理ができるように「百のレシピ」を、また楽しくおいしい食事ができる「百の場所」を紹介するのが本書の目的です。  これを契機に、読者の皆様が、心と体の問題を同時に克服して健やかなベジタリアンライフを始めることができますように。 文責・新島 啓二(Keiji Niijima 改め Këïjï Nïïjïmä)
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加