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隣国の 王子が王となり、そして亡くなったのは、それから10年後の事でした。
腹を括り、隣国に学び、後に授かっていた二人の王女を守り抜いた隣国の王女は、今や古参の大臣や、王の愛妾達も舌を巻くほどの立派な女王でした。
便りが届かない事を心配していた女王様は、隣国に遣わした使者から、この様子を聞いてはらはらと涙を流します。
「良かった。本当に良かった」
安心と寄る年波からか、女王様は床に伏し、やがて眠るように亡くなりました。
国中が悲しみ、葬儀は盛大に行われました。
跡継ぎの絶えた祖国を、その血を引く隣国の女王が受け継ぐことになりました。
悲しみの底にいた孤独な王女は、二つの国の女王になったのです。
民の中から代表として、花を手向けに来た祖国の青年が言いました。
「僕には親がありません。だから、小さな頃からいつも思っておりました。
お美しくお優しい、民の事を真っ先に考えてくださる女王様がお母様だったら、
どんなに幸せだろうと」
二つ国の女王は、ただ苦く笑うだけでした。
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