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その後も、女王様の隣には、何度も扉が現れては消えました。
女王様ももう、ここがどこであるのかはわかっていました。
どれほど時が経っても、疲れることも、お腹が空くことも、喉が渇くこともありません。
「私はもう、あの方の御許には行けないのでしょうか」
「心配いりませんわ。お母様。この扉は間違いなく天国への通り道です」
そこには、縹色のドレスに身を包み、銀の冠をかぶり、自信に満ち溢れた二つの国の女王がいました。
「なんと立派になって……」
地位が人を作るとはこのことなのでしょう。二つの国の女王には、もう昔のような弱々しさはありません。
「御安心ください。お母様の国も、私の国も、今は私の娘達がしっかりと治めております。もうどうぞ、お心をお残しくださいますな」
「ああ晴れがましい。もう女王として、母として、何も言うことはありません。ありがとう。ありがとう。ありがとう」
女王様は我が子を初めて抱きしめました。そして、自分はこの時を待っていたのだと、誰よりも自分の娘を心の底に留めていたのだと、ようやく気がついたのでした。
「さあ参りましょう。王子も待っています」
娘の女王が言いました。
二人の女王は、二つの扉を開きます。
今度こそ、女王様の扉も開いたのでした。
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