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初めての出会い
「お母さんっ、どうして死んじゃったの?」
暗い病室の中。それまで母子家庭で育ってきた星伽は、母親の急過ぎる死を、一人で看取ったらしい。
まだ小学二年生で、ひとりでは到底生きていけない年齢だ。先の見えない未来に絶望していた時、ふと窓の外から月光が降り注いだ。
明るい光に誘われて、夜空を見上げる。真っ白い羽が彼女の視界に映り込んだ。星伽はこの時、天使と目が合ったと言う。
幼い星伽はピタリと泣き止み、窓を開けて呼びかけた。
「天使さん……お母さんを連れて行くの?」
特別、霊感などない星伽には母親の姿は見えなかったらしいが、真っ白い羽を携える天使だけは見えたのだ。
天使は当惑しつつも、悲しそうに微笑み、コクンとひとつ頷いた。
「いやっ、お母さんを連れて行かないで! お願いだから、お母さんを助けてよっ!」
《……ごめんね、それはできないよ》
願いを拒まれて、彼女自身、引っ込みが付かなかったらしい。
「どうして? その白い羽で魔法を掛けて……っ、お母さんを助けてよぅ」
さめざめと泣く星伽に、天使はごめんと続けた。
《天使が落とした羽の力なら、願いを叶えられるかもしれない》
「えっ! だったら、今その羽を」
天使は眉を下げ、青紫の瞳を細めて首を横に振った。
《ごめんね。気付かずに落としたものじゃないと有効に働かないんだ。
いつかきっと……それを拾える日が来るといいね?》
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