お迎え

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お迎え

 目を開けたら、重い闇が広がる夜空に、何故か浮かんだままで座り込んでいた。 《大林 叶多さんですね。お迎えに参りました》  空中に浮かぶ僕に向き合い、背中に白い羽を生やした男が深々と頭を下げている。頭上に輪っかは乗せていないが、ひと目見て使と分かる風貌をしていた。 《ボクは天使です。貴方はたった今トラックに撥ねられてお亡くなりになりました》 「……え」  死んだ? 俺が? 《残念ながら即死だったので、想い合う方がいても意思を繋げる事はできません。未練はあるかもしれませんが、ボクと一緒に天国へ行きましょう》  天使は青紫の瞳を細め、僕に手を差し伸べた。 「……い、嫌だ」  天使の説明を受けて、死んだと理解するが、成仏への誘いはそう簡単には受け入れられない。  天使は僕の返事が分かっていたような表情(かお)で片方の眉をくいっと持ち上げ、ため息をついた。 「……っ、いやぁっ。かなたぁ……っ」  ふと、地上から響く愛しい声が鼓膜を震わせた。 「星伽!」  宙空を移動し、僕は声の元へと降り立った。彼女が必死に呼び掛ける対象を見て、ゾクっと背筋が寒くなった。
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