中身

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(あるじ)はとにかく変わったお方でしてな 流れる景色、車窓から見えたまぁるい巨大な物体をちらりと見ると 「あぁ、あれは恐竜のたまごだよ」 なんて言うのだ。 主よ、吾輩をそこら野良の犬猫と一緒にして貰っては困る。 あれはガスタンクということを我輩は知っている。 一声、助手席から上げると左隣の席でハンドルを握る手は吾輩の頭を乱暴に撫でた。 「なんだ、恐竜なんていないってか? そうかお前は知らないのか日本にはな、ゴジラという立派な恐竜が今だにいるんだよ」 主殿は知らないようだ。 ゴジラの中には汗にまみれた中年のおっさんが入っているということを…… ああ、そういえば主殿がかけている曲に 『We never thought someone is in the cookie monster 』 なんて歌詞もあった。 知らない方が良いこともあるのかもしれない。 タンクの中身が目に映らないガスよりもデカイ黄身の方が確かに夢はある。
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