インターホン

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 時刻は深夜を過ぎている。こんな時間に訪ねてきたのは、この停電のせいで何か困っているからなのかもしれない。助けてあげたいのは山々だったが、あいにく僕はパンツ一枚という、一歩間違えれば別の事件に発展しそうな格好だった。  そうこう躊躇しているうちに、ふっとモニターの光が消えてしまう。  悪いことしたな……と、僕は片手を壁に付き、もう一方の手を前に突き出して慎重に歩みを進める。  どうにかこうにか、万年床に戻った所で電気が点く。見慣れた部屋の景色が現れる。  一時的な停電だったのかもしれない。ホッと安堵の溜息を漏らした所で、「壊れてたらどうしよう」と今度は不安が訪れる。  僕は先程まで、友達の菊池とゲームをしつつ通話をしていたのだ。  恐る恐るパソコンの電源を入れると、ファンの回る音がした。  続けてプレステの電源を入れると、テレビ画面が青色に染まり、立ち上げ中を示す映像が流れた。まずは菊池に謝罪しなければとヘッドホンをすると、先に立ち上がったパソコン画面で電話を掛ける。 「さっきはごめん。突然停電になっちゃってさ」  繋がって早々に、僕は謝罪を口にした。 「気にすんな。災難だったな」  菊池はあっけからんとしていて、特に怒っている様子もない。突然抜けたことを怒られると覚悟していたこともあって、僕はほっとした。
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