絶望と希望は混ざり合う

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   それから数十年後──二度目の転生はそれが災いしたのか、私は不運の中にいた。  自害が要因なのかは解らない。けれど、私の人生には不幸しか訪れなかった。小さな幸せは、大きな不幸が踏みにじっていった。  だから、私は彼を探さなかった。彼に私の不幸を背負わせる訳にはいかない。私は不運を背負い続け、気がつけば病床で天井を眺める日々を送っていた。  立つこともままならなくなった頃、私は偶然にも彼の現状を知る。彼は結婚することもなく一人暮らしではあったけれど、事業が成功し富豪となっていた。  私はそのとき、これは罰ではなく試練であったのかもしれないと愕然とした。初めの不幸で(あらが)っていれば、こんな未来ではなかったかもしれない。  これは自害の罰だと、不幸に抗うことなく受け入れた。神は、この試練ではなんともないのだと、新たな試練を私に与え──私はまた、それを受け入れた。  そんな繰り返しが今の私であるならば、愚かであったと言うしかない。  余命二年と宣告されてしばらくのちに彼が私を見つけてくれたおかげで、私は苦しまずに最期を迎えることが出来た。 「ごめんなさい。ありがとう」  それだけは伝えられた。  
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