絶望と希望は混ざり合う

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   さらに数十年後──三度目の転生で彼が変わってしまったことに気がついた。  私が愛していたあの人は、もういない。  幾度の転生でも結ばれない事に疲れたのか怒りを覚えたのか、温和だった彼の性格はきつく、瞳には荒々しさが見える。  彼の豹変した様子に私は怖くなって逃げてしまった。自分が変わってしまった事に気付かないあの人は、私に事情があって遠ざかったのだと思っただろう。  私を追いかけるうちに彼は重い病を(わずら)い、再会することもなく他界した。私はそのあと、他の男性と出会い幸せな人生を送った。  
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