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灯台から戻った日、夜はまた叔父のところに顔だけ出してアパートに戻った。
二人で夕飯を食べ、一緒に床につく。
たくさん歩いたせいか、ヒタキは帰りの途中からすでに疲労の色が濃かった。
顔にかかる髪の毛をそっと指先で掬うようによけてやりながら、氷魚は寝顔を見下ろす。その表情には反省の色が浮かんでいた。薄手の毛布を肩まで引き上げてかぶせる。
しばし、氷魚はじっと目を閉じたままの顔と微かに動く胸元を確認して、短く息を吐く。頭を枕に下ろす。そのまま、ゆっくりと目を伏せ、眠りにおちていった。
窓の外からの小さな囀りが耳をくすぐり、氷魚は目を開いた。
ぼんやりとしながら瞬きを繰り返し、寝返りを打ちかけて、隣にいる存在に気付く。
――ああ、そうだった。
昨日のことを思い出して、そっとまだ眠ったままのヒタキの表情を伺う。
呼吸を繰り返しながら、まだ目覚める気配はない。白いが、顔色は悪くない。と思う。そっと手の甲で額に触れ、熱もなさそうだ。と頷く。
服の裾を掴んだ手の指を、優しくほどいて氷魚は静かに布団から起き上がった。
隣の部屋への襖を音を立てないよう開いて、同じように閉める。
まだヒタキに見せていないこちらの部屋は、氷魚の仕事部屋のようなものだった。
デスクトップパソコンが一台。大きめのモニターは二台。小さな本棚がパソコンの机の隣に置かれている。本棚には画集と写真集が何冊か。そこにカメラを鎮座させている。
大きなパソコン机には、モニターとキーボードと、液晶タブレットと呼ばれる機械。
壁際にはイーゼルと真っ白なキャンバス。その横に大きさの違う、キャンバスが裏を向けて床に立てかけてある。
キャンバスには目もくれず、氷魚は静かに本棚からカメラを持ち上げ、パソコンに向かう。 昨日撮った写真を取り込みたかったのだ。
パソコンのモニターで撮った写真の中から使えそうなものを確認して、調整していく。
選んで、調整を終えたものからサンプルを作り、所有している個人サイトにアップロードしてパソコンを落とす。
立ち上がろうとしたところで、背後の襖の向こうで微かに物音がした。
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