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Couldn’t Love
「殺してやる……ッ」
荒い息のままアナタが呟く。
身じろぎのひとつもできないクセに
目だけは熱く燃えている。
「殺す……ッ」
その火傷するような強い視線に
ボクはうっとりとため息を洩らす。
この目だ、と暗い悦びに胸が震える。
思わず抱き寄せて口を付けると
放せ、とヒドく咬み付かれた。
「覚えているがいい……」
熱の残る肢体を組み伏せる。
その目がますます黒く燃えて
ボクはまた情炎に身を焦がした。
「その首、いつか刎ねてやる……!」
光栄ですね、と薄く笑ってみせる。
殺す、殺してやる、と繰り返す声が
ありきたりな愛の言葉よりも甘く響く。
「もちろん、アナタが刎ねてくれるんでしょう?」
アナタには愛するヒトがいる。
だから ―――
「この首を」
ボクを愛するコトはできないし、
ボクも愛してくれとはいわない。
でも、せめて ―――
「その手で」
アナタには強く想ってほしい。
「楽しみにしていますよ、ボクの女王サマ」
何でもいい。愛よりも強い感情を、どうか ―――――
日本語題:赤の女王へ
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