Unhoped for

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Unhoped for

“予想外の出来事”なんてのはけっこう頻繁に出くわしてるコトで、  たいていはヒドくビックリしたり  腹を立てたりするだけで済むんだけど、  運が悪いとスゴく面倒なコトに巻き込まれたりする。  だからなんだろうね、  多くのヒトはこれらの出来事に対して驚くほど否定的だ。  でも、退屈な毎日を送ってるボクにしてみたら  そんなくだらないコトでもけっこう楽しみだったりして、  気が付けば一瞬の緊迫感を味わいたいがために  自分でも(あき)れるようなコトばかりしている。  まぁ、ボクの予想を大いに裏切る出来事なんて  滅多にお目にかかれないんだけど。  あぁ、でも、どうしてかな。  後々ヒドく後悔するとわかってるコトに限って  ボクの予想通りにはならない。  正確にいうのなら  それは一応予想していたコトなんだけど、  絶対にありえないと思っていただけに  現実に突き付けられたときの衝撃は筆舌に尽くし難い。  何故(なぜ)だろうね、  心の底から望んでいたコトなのに  まるで悪い夢でも見せられているような気分だ。  例えるなら……  獰猛(どうもう)(おおかみ)がいたいけな仔羊(こひつじ)を捕らえたとして、  もしその仔羊が無抵抗を決め込んでいたとしたら、  哀れな狼はどんな顔をしたらいいと思う?  抑揚のない声で  感情を映さない瞳で  ボクを責めたら……? 「どうして……?」 「……べつに」  あぁ ―――――  日本語題:(おおかみ)の独白
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