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通じない奴
ガチャっと鍵を開けて中に入ると、チェーンをかけてからジャケットを脱いで雑に靴も脱ぎ捨てた。
ソファーにジャケットを放るとそのまま歩いてベッドに倒れ込む。
あー、くっそねみぃ。
あくびをしながらベルトを引き抜いて捨てるとそのまま目を閉じる。
しかし、スマホが鳴り出して俺は目を開けた。
音も切ってかばんの中に入れていたが、鍵を出す時に触ったせいで音も耳に届くし何よりうるせぇ。
のそりと起き上がって画面を見た俺はため息を吐きながら画面をタップした。
「ははっ!寝てたー?大翔、暇でしょ?今から行くわー」
聞き慣れた声。しかも、何も答えていないのにズケズケとくるこの感じ。
何を言ったってこいつの行動も何も変わらないことを知っている俺は黙ったままスピーカーにし机に置くと、またベッドに転がった。
1つ下の幼なじみ。お互いの母親同士も兄貴たちも同級生でしょっちゅう一緒だったせいで、 いつも隣に居た奴だ。
就職と同時に一人暮らしを始めた俺の家にだってしょっちゅう来る。
ピンポン、ピンポンと何度も鳴るチャイムで唸りながら起き上がった。
「お前、どんだけ近くに居て電話してきてんだよ」
ドアを開けて目を細めたまま見下ろすと、幸奈は全く気にもしないで笑ってさっさと中に入ってくる。
慣れたように靴を脱いで俺の靴も揃え、そのままキッチンに行って荷物を下ろす。
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