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「ヤる?」
「ヤらねぇわ。そういうのは彼氏んとこでも行け」
頭を退けて伸びをすると、幸奈も笑って目一杯手足を伸ばした。
「何か裸見てもドキッともしないし、何言っても平気なのって楽だよね」
ケラケラと笑ってゴロゴロと転がる幸奈を見つめて、俺もコロンと転がる。
俺たちは男でも女でもない。風呂だって昔からのまま一緒に入るし、一緒に寝る。
それでも、間違いなんて起こることもなく、むしろ、キスしてみたら違和感で爆笑する程だった。
お互い彼女や彼氏は別に居て……でも、取り繕う普段の自分に疲れて俺たちは2人の時は素を曝け出す。
嘘も打算も欲も何もないこの関係は日常の煩わしさをリセットする貴重な時間でもあった。
「あ、あった!大翔ー?彼女ってどっち?」
ベッドに頬杖を付いて俺の目の前に画面を見せてきた幸奈。
「あー?」
退けながら片目で見た俺はそれを掴んで勢い良く起き上がった。
HPに受付として写っている女は3人。幸奈が「どっち?」と言ったのは明らかにできる女系のショートカットは違うと判断してだろう。
明るめの茶髪でゆるいウェーブの女も栗色で髪をアップにしている女も……あのショートの女だってみんな整った顔の美人ではある。
だか、どれもリナではない。
……どういうことだ?
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