うそつき村の日常

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 こんな、なぞなぞをご存知だろうか?  旅人が分かれ道にやってきた。 片方は正直村に、片方はうそつき村へとつづいている。 旅人は正直村に行きたいのだが、どっちが正直村なのかわからない。そこに村人がやってきた。 旅人はこの村人に一回だけ質問をして 正直村に行く道を見つけだすにはなんと聞けばいいか? ただし、村人は正直村、うそつき村、どちらかの住人ではあるが、どちらの住人かわからない。また、正直村の住人は必ず正直な答えをし、うそつき村の住人は必ず嘘の答えをする。  答えは読者諸君に任せよう。  ここで私が疑問に感じたのは、その答えに対してではなく、うそつき村ではどんな日常が繰り広げられているのだろうか? ということである。  むろん、フィクションの世界だ。住人全員が嘘の答えをしていては、世界は成り立たないだろう。だが、ここでは成り立っているという認識で考えてみたい。  1+1=2という式に対し、『田』や∞と答えれば、おかしなことになる。  商売人は、正規の値段など絶対に答えない。正気の沙汰じゃない値段があたりまえのように乱舞する光景が日常茶飯事。  村の歴史は嘘で塗り固められ、正史はわからなくなる。
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