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阿保らしいと思いつつも、こういう心霊スポットには少なからず興味があった。それに視聴数次第では色も付けるという約束だった。
ユイカの役目はアシスタント兼、幽霊役だった。何も起こらなかった時の為の保険だった。
画面の端に映り込んだ女。
そんな感じで後で撮るから、とケンジには言われていた。
「あ、ここですね。噂通り、ちゃんと人一人が入れるスペースがあります。それでは潜入したいと思いますっ」
ゴープロに向かって敬礼をしたケンジは意気揚々と金網を潜り抜けていった。
金網のフェンスには人一人が通れる隙間がある。恐らく噂を検証した者がペンチとかで網を切ったのだろう。二人は難なくフェンスを抜けてトンネルの前に立った。
「うわあ。真っ暗ですねえ。やべえ。どうしよう。恐いんですけど・・・」
白々しい声を出すケンジの横でユイカは生唾を飲み込んだ。
先は見えない。真っ暗闇だった。暗闇の壁が立ちはだかっているようだった。
「いや、でもここはケン坊、男を見せますよ。皆さん、僕の雄姿、とくとご覧ください」
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