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窓の外で木々がさぁっとざわめいた、気がした。
手紙をしたためていた私は、ふとバルコニーを振り返る。今夜は春の夜風が心地よかったから、窓もカーテンも開けておいたのだ。
「おっと」
確かにそう聞こえた。
「……っ!」
私は驚いて立ち上がる。
そこにいたのは、ジェムを散りばめた仮面で顔を隠した、背の高い男性。
驚く私に、彼は慌てる様子もなく、優雅にお辞儀をした。
「良い月夜ですね、マドモワゼル」
空には大きな満月が煌めいていた。
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