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 王立学院の名の通り、王家の為の学院。王族と貴族、そして私のような庶民だけれど有力な家柄の者しか入学できないのが決まりだ。特に、この国の第二王子であるゼスフィルが在籍する私の学年では、かなりの神経が使われている。 「本日より、皆様と共に切磋琢磨させて頂く機会を頂戴致しました。ご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします」  ミコトはそう言って、涼しげに微笑む。  品のいい同級生たちも、僅かにどよめいた。通例を破って転入して来るからには、祖国では相当な家柄なのであろうことは予想がつく。  教師は彼の挨拶にゆったりと頷き、私の隣の席を指し示した。今朝登校した時から、気にかかっていたのだ。昨日まではそこになかった机。 「ミコトさんのお席はあちら、ヤスミン・プランフォリアさんのお隣にご用意致しましたわ」  彼にそう説明すると、私の顔を見る。 「ヤスミンさん、授業に関することはあなたにお願いしたいと思います。よろしくてね?」 「はい」  どこかの国の高貴な人に、庶民の私が近寄って良いものだろうかとドギマギする。 「学院内の案内と全般的なことに関しては、委員長のビュフェールさんに」  ビュフェールは教壇に歩み出て、持ち前の陽だまりのような優しい笑顔をミコトに向ける。
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