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「こちら、私が使っていたもので失礼かとは思いますが、お持ち下さい。いずれ、お好きな反物をお選び頂いて、ヤスミン様のお着物を仕立てましょう」
「そんな……」
私などに、ミコトのような身分の方が贈り物をしてくれるなど、夢のようだ。
そして、きっとこれは貴族の気まぐれだろう。すぐに忘れてしまうに違いない。
「必ずご用意致します」
私が彼の誠意を疑ったことを見透かすようにそう言って、微笑んで私を見つめる。目を逸らすことができない。
ゼスフィルが私の頭を軽く撫で、ミコトの肩を叩くと、チャイムが鳴り響いた。
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