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「エージェント273、コードネームを」
冷たいアナウンスの声が響く。その声にあわせて、一歩前に歩み出る。コツ、コツとヒールの音が静かな空間にこだました。
部屋の中央に足を向ける。審問台のようになっているそこに立ち、真っ直ぐに視線を向ける。目の前のモニター越しに、値踏みされるような視線を向けられているであろうことはわかっていた。
「コードネーム・アイ、これより任務に着任する」
これは私に課せられた任務であり、私に与えられた試練。失敗は、許されない。
「検討を祈る」
「御意に」
私は、この任務を通じて、機関に私の価値を証明する必要があった。
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