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 わぁっ、と割れんばかりの歓声が上がる。鳴り止まない拍手の音、湧き上がる喜びの声が、波のように押し寄せる。  まるで一つの舞台を見終わった後のように、興奮した様子で私の方を見る周囲の人たち。周りを見渡すと、三ヶ月前、私が立っていた審問台に、私はいた。  どういうこと? 私の受けていた暗殺の任務は? さっきまで、目の前にあったものたちは、優雨は、どこに行ってしまったというのだ。 「皆さんご覧になりましたか! ただの機械だったものが、感情を育み、人間に恋慕を抱き、涙まで流してみせた!」 「彼女は我々の研究の叡智だ! アンドロイドにも感情が生まれるのです!」  周囲の者たちに演説するように、自分の手柄を見せつけるように、研究者は高らかに宣言する。拍手をやめない研究者たちの視線は、一心に私に注がれていた。  研究者の言葉で、周囲の視線で、徐々に状況を理解できてきた。  命令なんて、最初からなかったのだ。私が体験していたものはあくまでも実験で、“宝物”だと言った私の記憶は、アンドロイドの研究を進める過程の一つに過ぎなかったんだ。  私の記憶も、優雨の存在も、虚構だったのだ。  あぁ、なんだ。きみの方こそ、(うそつき)だったんじゃないか。  研究者たちは、私に感情が生まれたことを大いに喜んでいる。  けれど、私はこんなもの要らなかった。  こんなに胸が痛むなら、こんなに苦しい思いをするならば、 ──おれ、アイさんのこと、好きだよ。  感情なんて、要らなかった。  ねぇ、優雨。  私が言ったあの言葉、嘘なんかじゃなかったんだよ。  もうどうにもならない言葉を、ただ胸の中で繰り返していた。
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