真樹の五年間、みんなの五年間。

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 先生達が配る寿司桶と、緑茶のペットボトルを各々受け取り、真樹達はお寿司を頬張った。美雪にタコをあげ、自身は彼女からコハダをもらう。 「んー、美味しー! 今日来てよかった!」  体育館のフローリングの上に(くるま)()になり、美味しいお寿司に(した)(つづみ)を打つ。それはある意味、非日常的な光景だった。 (今のこの感じって、回転ずしのお店にいる時よりもみんなとの距離近いかもなぁ)  真樹はふとそう思い、顔を(ほころ)ばせた。  友達と膝をつき合わせて食事をし、冗談や下らない話で盛り上がる。――大人になった今、こんな機会にこの先あと何回恵まれるだろうか。 「――さてと。ケーキもらいに行こっかな。美雪も食べる?」  寿司桶をすっかり空っぽにした真樹は、デザートをもらいに行くために立ち上がった。 「うん。じゃあ……、モンブランがいいな」 「オッケー☆ じゃ、あたしの分と一緒にもらってくるねー!」  ステージの前まで行くと、甘いものは別腹なのか、並んでいるのは圧倒的に女子の方が多い。  やっと順番が回ってくると、真樹は美雪に頼まれていたモンブランと、自分の分のチョコレートケーキの皿を手に取って戻った。  他の友達も各々好きなケーキやシュークリームを選んでいて、真樹がホクホク顔でフォークを動かしていると……。 「――真樹、俺の分も食っていいぞ」 「へっ?」  突き出されたチーズケーキの皿に、驚いて顔を上げれば、持ってきたのは岡原だった。 「なんであたしに? アンタが食べたくてもらってきたんじゃないの?」 「(ちげ)ぇよ。ダチがくれたんだって。『お前、甘いモン苦手でもコレなら大丈夫だろ?』って。……けど俺、よく考えたらチーズもダメだったこと思い出してさ。もったいねぇからお前にやるよ」 「……あっそ。ありがたく頂いとく」  だったら最初(ハナ)っからもらわなきゃいいじゃん、と思いつつも、「ん」と突き出された皿を、真樹は受け取った。 「……岡原、アンタ甘いもの苦手だったの? 中学の時から?」 「まぁな」 「なのに、あたしのチョコは受け取ってくれたんだ?」 「…………いいだろ別にっ! じゃあな!」  真樹が問い(ただ)すと、岡原は吠えてからプイッと顔を(そむ)けて行ってしまう。  衝撃の事実に真樹は茫然となる。 「……さっきの、どういう意味だったんだろう?」 
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