ミッコのアゴ

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「ミッコ、髪色変えた?その色いいーー!」 「ありがとう、美容師さんが勧めてくれたの」 「さっすが、青山の有名美容室だね~。ミッコは色白だからぴったりだね」  春の柔らかな日差しが差し込むキャンパス内のベンチで、私はアリサが褒めてくれたピンクがかったブラウンの髪の毛を一束すくい取った。  太陽の光に透けて艶やかに発色するそれに満足して自然と笑みがこぼれる。  ゆるく巻いた髪の毛に、いつの時代もウケがいいクラシカルなAラインの白いワンピース姿。キャンパスを歩く人がチラチラと私を見るのが視界に入る。 「よお、お待たせ!腹減ったからどっか飯食いにいこうぜ」  ナツキがやってきた。明るい髪色にアイドルのような顔立ち。遠目から見ても目立つ男の子。そして、その隣にいる背の高い男の子は、私の大好きな人。 「ミッコ、髪色変えたんだ。すげー似合ってるよ」  優しく微笑むその端正な顔に、つい私の頬も緩む。  シュンくん。私の彼氏。  私達4人は同じ学部で仲良くなり、こうして毎日一緒に楽しく大学生活を送っている。私はつい先日からシュンくんと付き合うようになった。ナツキも明るくてオシャレなアリサのことがどうやら気になっているらしく、付き合うのは時間の問題じゃないかと思っている。 「学校の裏通りに新しいカフェができてたよ!そこ行かない?」 「いいねミッコ、そこにしよ!週末のドライブの計画もそこで立てようよ!ナツキ、車よろしくね!」  充実した学生生活、理想の友人、ステキな彼氏。  これ以上の幸せはなかった。
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