第一章

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 嫌われてはいない。  高校生のとき、皆んなが皆んな保科先生から電話をもらっているわけではなかったことを友人たちにそれとなく聞くことで確認した。  けれど。  もう成績がいいわけでもない。中学生の時のように目立つこともない、どこにでもいる大学二年生。今は先生の生徒でもない。だから。これからは分からない。先生を失望させるだけに違いない。  保科先生から嫌われたら生きていけない。  そう思うと、なかなか会いに行けなかった。もう、用無しだよって言われる気がして。  だから私は保科先生の面影を別の男性に見つけて、好きになろうとした。でも好きにまでなれずに、相手にそれを悟られ振られた。二度。
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