第一章

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 甘いアップルティーを飲んで落ち着くと、私の涙も止まった。ふぅと息を吐く。保科先生はそんな私をただ黙って見守っていた。 「すみません。泣いたりして。少し落ち着きました」  アップルティーのペットボトルを握りしめながら私は息を吐いた。 「そうですか」  保科先生は淡く微笑む。 「保科先生に会えてよかったです」 「私も会えて嬉しかったですよ」 「そうなら寄ってよかった」 普通の会話。  でも。  ほらね。保科先生に会えても何も変わらない。中学生のあの頃より先生が遠くなったのを感じるだけだ。 「保科先生」  私はもう一度先生の名を呼んだ。 「はい?」  先生はまだ先生として答えてくれているのだろうか。  私の中で何かが狂いだす。 私はこのまま保科先生の一生徒として埋もれていくのは嫌だ。私の胸で保科先生はまだ色濃く残っているのに。 「私、今日、振られたんです」  私の口が勝手に言葉を紡いでいた。
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