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第2話
早速魔王討伐へ向かった。
魔王軍の拠点は、海を跨いだ大陸のそのさらに奥にある為、長旅が予想される。
早速魔物が現れた。
「魔物が現れたぞ! 」
「初陣ですね。」
「アジリンドスさん、お願いします!」
「ま…まかせろ…」
「…………」
「…何やっているんですか? 」
ガクブルガクブル…
「………」
「私がやろう」
無駄に自信満々なテツさんが、静かに前に出た。
「ボコ」
「凄いやテツさん」
「しかし、これでは私だけが強くなってしまうよ。」
テツさんは、この先の事を心配した様子だった。
「次は僕がやります」
「じゃああの魔物を頼むよ。」
それはレベルが5の魔物で、初心者が相手するのにふさわしい敵であった。
「りゃあ! 」
1ダメージ
「そりゃぁ! 」
1ダメージ
「てりゃあ! 」
1ダメージ
「私がやります」
コマが前に出た。
「ほりゃあ! 」
1ダメージ
「こうなったら…アジリンドスさん、お願いします。」
ガクブルガクブル…
アジリンドスは、一向に戦う気が無いようだった。
そこでテツさんが、助け舟を出した。
「君たち、まだレベルが足りないようだね。」
「これは、奥の手だったんだけどね。」
「スゴバフ!! 」
「何をしたんですか? 」
「試しに魔物に攻撃をしてごらん」
「そりゃ」
265ダメージ
「なんだこれは! 」
「スゴバフといって、24時間攻撃と回復ができなくなる代わりに味方のステータス強化が可能なんだ。」
「すごいや、テツさん」
「貴様のその力、このアジリンドスに使っても良いぞ。」
「いや、これは一人にしか効かないんだ。解除も一日経たなきゃ行えない。」
「そもそも君はステータスが高いからあの魔物相手に使う必要は無いよ。」
「そそそ、そうだよな。ふはははは」
アジリンドスは、クールを装ったが、額の汗は動揺を物語っていた。
10日ほどそんなやりとりをし、魔王討伐隊は、国境を越えるために機関車にのることになった。
蒸気で動く機関車は、この国の冒険者で賑わう。
駅名の看板の汚れ具合から、この機関車の歴史の長さが感じられる。
そこに、一人の少年がやってきた。
どん
「ごめんなさい…」
「いいえ、お気になさらず。」
少年は、不気味な笑顔と共に、列車の最後尾へと向かっていった。
「パスポートがない! 」
レンがその事に気づくのに、そう長くは、かからなかった。レンが叫んだ。
「そんなことはないよ。よく探すんだ。」
「あれじゃ…」
コマがパスポートを持っている先程ぶつかった少年を指差した。
どうやら盗まれたようだ。
その少年は、みるみるシルエットを変えていく。現れた姿は、魔物だった。変身魔法を使っていたようだ。
遠くてレベルがわからなかった。
一行は、驚愕とともにその魔物を追いかけた。
一両先へ行くと、別の魔物が現れた。
レベルは25であり、アジリンドスかテツさんしか対応できない。
「私が相手をしよう。先に行ってくれ。」
自信とともにテツさんが前に出た。何か考え事をしてから名乗り出た。
「それと、これを。」
「なにをしたんですか? 」
「早くパスポートを取り戻しに行くのだ!」
「はい! 」
レンたちは、先へ急いだ。
「テツとやらよ」
「なんだい?」
「この椅子に長く座ったほうが勝ちというのはどうだ?」
「いいだろう。どんな勝負も、全力だ。」
レンたちは、盗人と遂に対面した。
「テツとやらはいないようだな…」
「私の真の姿を見よ」
ぐぐぐ。
ぼふっ。
盗人は、形態変化をし、レベルが次々に更新されていった。
「レベル53…? 」
「そうだ。さあ、どうする? 」
「やるしかないよ、アジリンドスさん。お願いします。」
「い、いやだ! 戦いたくない! 」
「な…」
「危ないレン! 」
レベル53の魔物の、即死級の攻撃がレンに直撃した。
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