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第4話
長い旅の途中、大きな駅で休憩中であった。
「ここからは満員電車に乗るから各自離れないように。」
「おうけいブラザーこのアジリンドスは離れないよ。」
「ビビリだからね。一人で魔物に出くわしたくなさそうだし心配いらなそうね。」
「な…このアジリンドスにも、プライドというものがあってだな…」
「まあいいだろう。」
満員電車に乗り継ぐ事になった。
「君、このアジリンドスに席を譲っても良いのだぞ?」
「やめなさい恥ずかしい」
「しまった。つり革に手が届かない。」
「テツさん汗がすごいですよ」
「済まないねえ」
勇者一行は、今世紀最大の試練を迎えていた。
「つり革に手が届かないときはどうすればいいんだ?」
「頑張るんだよ。うおおおお。」
テツさんが相変わらず熱く返事した。
「そんな…」
「ちょっと押さないでくださる?」
「すみません…」
つり革に手が届かないレンにとって、満員電車は、試練の場であった。
「このアジリンドスはここを早く出たいんだが。」
「あと一時間は耐えよう。電車が少ないんだ。」
「仕方がない…エクストラゴールド…」
「なにを唱えているんだい?」
「破壊魔法さ」
「ばっきゃろう!テツさんホールド!」
「頼むからここで暴れないでくれ。」
「ドアが開きます。」
「押し流される…」
「この手に捕まるんだ!」
「届かない!」
「うあああああ」
レンは、途中の駅に取り残されてしまった。
「どうやら乗りそこねたようだね。」
背の高い若い青年が駆け寄ってきた。
「はい。そうなんです。」
「大丈夫、掴まってて。」
レンは、男のコートに入れられると、体が浮いた感覚になった。
ヒュン
「これは、時空間魔法と言ってね。もうすぐあなたのお仲間が到着しますよ。目的地まで先回りしました。」
「え?」
信じられない事だったが、駅の看板を見ると、目的地に到着したことがうかがえる。
「あ、ありがとうございます。」
レンは、不思議に思いながら、夢見心地に言った。
レンの仲間たちが到着した。
「あれ?レンじゃないか。良かった。どうしてここに?」
テツさんが駆け寄ってきた。
「あの人が僕をここに連れてきてくれたんです。」
「どの人だい?」
レンガ振り向くと、そこにはもう青年はいなかった。
「確かにここにいたのだけど…」
レンは、起きたことを詳細に話した。
「それは、時空間魔法だね。世界に3人しか使えない最高級魔法のうちの一つさ。相当な使い手と出くわしたね。」
「このアジリンドスにも使えないぞ。まあ、そのうち使えるようになるだろうけどな!」
アジリンドスの言葉は、レンの耳にははいってこなかった。
「そうだったんだ…。」
レンは、青年の顔を見ておけばよかったと少し後悔をした。
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