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1章 出逢いとは必然か、偶然か
[1、典型的な始まり]
俺はある日、子供を見つけた。
◇◇◇
ふんわりと頬を撫でていく風。柔らかに日差しを注ぐ太陽。遠くから流れてくる人々のざわめき。
うう〜ん、今日もいい天気!
鳥さん今日もお元気?いや〜相変わらずたっかいとこ飛んでるねぇ。
ああ〜、こんなにポカポカしてるとさぁ、なんというか、眠くなってくるよねぇ〜。
今日も今日とて特に何をするでも無く、ふわふわ風に揺られながら、このままもうひと眠りしよっかな〜、なんて思っていると、微弱ながらも青い、まるで海の色をガラス玉に閉じ込めたような魔力を感じた。
おおっ、珍しいなぁ!こんな透き通った色!えっ、見に行こうっと!
昼寝の気配はどこへやら、一気に興味が傾く。
ワクワクする心を抑えて、ゆっくり下降。スーッとそこに近づく。塀を越し壁を通り抜け入ったそこは、狭い部屋だった。質素な飾り付けがされていて、壁はライトグリーン。タンスと勉強机と椅子、それに小さな棚とベットが置いてある。
「ええっ!暗くない?」
窓にはカーテン。日差しが遮られて、うわっ、空気が澱んでいる!思わず声が出ちゃったんだけど。
「…………、誰?誰がそこにいるの?」
「えっ?」
ここにいるの?えーと、声はベットからかなぁ。ゆっくり近付きベットの上を覗き込むと……、
「あっ、この子だ!」
透き通った海の色を持ってる子。おお〜、近くにいるだけで気分が良くなるな。
「誰?」
魔力と同じ、透き通ったパステルブルーの瞳をこちらに向ける、サラサラ金髪の男の子。天使みたい。
「君、俺が見えるの?」
「え・・・・・・、うん。見える、よ。っゴホっゴホ。」
「ちょ、ちょっと!大丈夫?」
明らかに体調が悪そうだ。綺麗な眼が熱に潤んでるし。
「俺のこと、しっかり見える?声も聞こえる?」
「うん。」
そうか・・・・・・、ならばっ!
「ちょっと触るね。」
ペトリ。おお、この姿のままヒトに触れられたよ!って熱っ!熱すぎだろ!
「ねえ、君、熱くない?」
「うう、熱いよぅ。・・・・・・喉渇いた。」
「そうだよな!ちょっと待ってろよ!」
こうしちゃいられない。こんな小さな子が苦しんでるんだ!お兄さんが助けないと!
ドアを擦り抜け、廊下を駆け抜けて、入れ物を探す。どこだ、水入れ。出てこい!
強く念じた甲斐あり、2つ程先の部屋に銀色の入れ物を発見!
よし、丁度いい大きさだ。これでいいだろ!
「うー、浮け!」
念じて指で指図すると銀色の入れ物は宙に浮く。さあ、戻ろう!
そのまま開いていた窓から飛び出し、家の外をぐるっと回ってさっき入った男の子の部屋の窓まで直行。入れ物は壁とか抜けられないんだ。
窓の前にて再び指を指して念じる。
「開け、開け!」
バタッと音を立てて窓が開く。
「おーい、君、起きて起きて!」
「ゴホッ、ゴホッ、えっと、さっきの、人…?」
「そうだよ!さあ、喉が乾いたんだろ?」
コクリと頷く男の子。
「ほら、これ持って!」
銀色の入れ物を男の子が持ったのを確認して〜の、
「清涼なる癒しの水をここに!」
それっ!
何もないはずの空中から光る水が出てくる。それは、キラキラ太陽の光を反射しながら入れ物に溜まっていく。
「さぁ!これ飲んで!」
「わぁ、すごいね。……でもいいの?僕がこれ飲んでも。」
「もっちろん!君のために出したんだ。それ飲んでよくなってくれよ。」
「・・・・・・うん!」
ごくごくと水を飲む綺麗な子。余程喉渇いてたんだな。一気に飲んじゃったよ。
「ありがとう。お兄さん。」
そう言って俺に入れ物を差し出した、さっきまで苦しそうに唸っていたその子が、トロンと潤んだ目も、枯れた声も、グッタリした体もそのままだけれど、まるで花が咲いたように笑ったんだ。
それを見た俺は思わず笑顔になっちゃって、
「どういたしまして」
そう、返答したんだ。
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