1章 出逢いとは必然か、偶然か

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 ◇◇◇  そのまま、疲れたその子がまた眠って、起きたのはまる2日経った後だった。  目覚めるまでの間、まず、俺は家の周囲や内部を探検した。  家っていうかお屋敷だな。  それがさ、ちょっとおかしいんだよ。ここ。  結構広いのにヒトの気配ひとつしない。唯一調理場は整っていたが、それ以外は埃まみれだ。  その調理場だって薄ら積もってたし。  つまりだ、この屋敷、ヒトの生活空間っぽくないんだよ。  おまけに、あんな部屋に子供がひとり。  1日以上経ったって大人の姿が見られない。  ..........あの子が心配だ。  探検の合間にはあの子の様子を見に行った。たまに泣きながら眠ってた。その姿に胸がズキってした。そんな時に手を握るとフニャって笑うんだ。可愛いだろ!  サラサラの金髪を撫でるとこっちに擦り寄ってくる。そんなとこも可愛らしい。  あの子を発見して2日目。1日目にヒトがいないことが分かったから、掃除を始めた。  とりあえず、あの子のお部屋だ。まず、洗浄。埃を取って、水球で軽く上を撫でる。そして、乾燥。これを繰り返す。次にカーテン!これは外して、外でまるっと洗って干した。うん、オッケー!最後は空気の入れ替えだ。窓を開けて念じる。 「穏やかに吹き込む薫風に満たされる部屋となれ!」  一気にすっきりした。呼吸が楽になったよ。どんだけ停滞していたんだか。  次に調理場。何てったって人には食事が必要だ。こんな幼い子にはなおさら、毎日美味しいくて健康的な食事を食べさせるべきだ。というわけで、 「清涼なる癒しの水よ、集いて澱を押し流せ!」 ぐわっと水が流れる。埃、カビは勿論のこと、巣食っていた不浄もひっこるめて流し、水を消す。さあて、ついでに食器達も纏めて丸洗いしようじゃないか!  そうこうしているうちに日が暮れてくる。  3つ目の部屋をぐるっと洗っている時、不意にヒトの気配が強くなった。  ああ、あの子が目覚めた! ◇
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