1章 出逢いとは必然か、偶然か

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「うぅ〜ん.......。」  まだ眠そうな目をゆっくり開いていく男の子。  ……やっぱり綺麗な目だなぁ〜。 「あっ、目、覚ました?どう、元気になった?」 「えっ、あっ、えっ?」 「俺のこと覚えてる?」  忘れてないよね? 「.........あっ、うん!お兄ちゃん!」 「うん、そうだ!それで、体調は?」  目をパチクリさせて手を持ち上げる。 「大丈夫!僕、元気になったよ!」  ああ〜、可愛い。 「そうかそうか〜。良かったよ!」 「ありがとう!お兄ちゃんのおみず飲んだらね、すっごいよく寝れたの!でね、えっとね、体が軽いの!」  ちょっと舌足らずに、辿々しく話す子。 「そりゃ良かった!それでさ、すごい気になってることがあるんだけど........。」 「なあに?」  こてっと首を傾げる。 「あのさ、大人のヒトって会う?」 「大人のヒト?えっとね、シャリーっていうお姉ちゃんがね、来てくれるよ。」 「シャリー?」 「うん!茶色の髪のおねーちゃん!たまに来る時に美味しいご飯を持ってきてね、ご本を読んでくれるの。」 「そうなんだ〜。前はいつ来たの?」 「えっとぉ〜、4日前?」  こてっと再び首を倒す。  俺は何となく分かった。俺だってそれなりに長く生きている。  埃の積もった屋敷。熱の出た子供がひとり。痩せこけた頬。折れちゃいそうな腕。それに、たまにしか大人が来ないということ。  …………これだからヒトって。  まあ、俗にいう育児放棄。この子は周囲にとって邪魔なのか。  ........望まれない子。  湧いたのは、同情か、憐憫か。..........可哀想だな。    だったらさ、俺がお世話してもいいかな?育ててもいいかな?  この数日、ヒトにとっても瞬きのような短い間。  どうやら俺は、この子に情が湧いたみたいだ。  笑顔が眩しくって、この子の空気も好きだし。きっと魔力の相性もいいだろう。  まあ、ヒトの子と俺たちは違うからいつかは離れる必要があるけど、その時まで俺が側に居てもいいだろ? 「なあ、君。俺もここに暮らしていい?」 「えっ?」 「俺、君の魔力が心地よくって好きなんだ。どうかな?ここにしばらくいていい?」 「お兄ちゃん、僕と一緒にいてくれるの!」 「うん!どう?」  どうかな?嫌じゃないかなぁ。 「………っうん!もちろん!お兄ちゃん!」  よしっ! 「僕はね、シェフィールっていうの。お兄ちゃんは?」  …………名前、名前かぁ。久しぶりに尋ねられたな。  まあ、この子に呼んでもらうなら、これかなぁ。   「俺はリィ。精霊のリィルだ。よろしく、シェフィ!」 ◇◇◇  こうして俺ことリィルは、可哀想な子、シェフィールを育てることにした。
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