序章 彼方より

1/1
前へ
/8ページ
次へ

序章 彼方より

   …………、、。 どうか、どうか、あの子を温めて下さい どうか、どうか、あの子に寄り添ってあげて下さい  あの子は一度、……を離されてしまった。  大事に大事にしていたのに。  愛しんで慈しんで、共に……と約束したのに。 私はあの子にあまり干渉出来ないのです。 私があの子を……のに。  だから、貴方が望みなのです。  どうか、あの子を……って下さい。  あの子を頼って下さい。 きっとそれが…になるから。  どうかあの子の力になってあげて下さい。  嗚呼………、  それは青い蒼い祝福  玉の様に輝き、火の如く燃え盛る様に  風の様に軽やかに駆け、水の如く澄み切る様に  望まれて、願われた果てに行き着いた、行き着いてしまった  あの子の望まぬ場所  それは明るい御伽噺の光に埋もれた影。  目を逸らされた真実。   さあ、お行き。 ……が貴方の…と成ることを祈って…よ。  其方の行く道に幸多きことを。  願わくば、どうか、あの子を………、             ****    そうして未来を願う。こんなことを私がするのは滑稽だと、意味がないとわかってる。でも、どうしてもそうせずにはいられない。この身がもっと自由であったらと思わずにはいられない。  そっと細めた眼の先、運命(さだめ)はそっと彼らを訪った。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加