名もない希望のペンダント

14/31
前へ
/31ページ
次へ
「サイコーだぜ、おい。大人しくしてりゃあ良かったんだよ。バーカ」  男は笑いながら紗良のもとへやって来た。 「なかなかの美人じゃねーか。ちょいと可愛がってやるかな」  男は鼻歌交じりで、タンクトップを脱ぎはじめた。腹部の布が、男の顔を(おお)った。その時だった。  紗良は警棒を握りしめ、男の(すね)に打撃を喰らわせた。 「ぎゃぁぁぁぁああああ」  男はバタバタと身をよじらせている。 「ふん、騙されたお前のほうこそバカだ」 紗良は矢に刺さった振りをしていたのだ。矢は脇を抜けていた。  首すじに警棒を与えて、男を気絶させた。ふう、と安堵の息をつくと、紗良は座り込んだ。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加