57人が本棚に入れています
本棚に追加
紗良は無理やり、少年の腕をはがそうとする。お願いだから……と力を込めて少年の腕を握る。そのとき、ふと思った。
――はっ。
わたしは何をやってるんだろう。
こんな小さな子から物を奪おうとしている。
自分だけが幸せになるために。
七年前、自分が生きるために子供を捨てたときと同じことをしている。
紗良は心が揺らいだ。
無理やり物を奪うなんて、さっきの野蛮な男と同じことをしているじゃないか。最低じゃないか。
だけど……だけど……
最初のコメントを投稿しよう!