名もない希望のペンダント

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紗良は無理やり、少年の腕をはがそうとする。お願いだから……と力を込めて少年の腕を握る。そのとき、ふと思った。  ――はっ。  わたしは何をやってるんだろう。  こんな小さな子から物を奪おうとしている。  自分だけが幸せになるために。  七年前、自分が生きるために子供を捨てたときと同じことをしている。  紗良は心が揺らいだ。  無理やり物を奪うなんて、さっきの野蛮な男と同じことをしているじゃないか。最低じゃないか。  だけど……だけど……
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